【あなたの活力源は?】
鳥山昌克(右)
僕は、古い映画が好きなんですよ。日本映画で、溝口健二とか黒澤明とか……。行き詰まったとき観ると、けっこう楽になるときがあります。何年か前に今井正の『にごりえ』(53年)を観たんですが、あれは文学座の人たちがメインで作ったような映画で、杉村春子さんと宮口精二さんが夫婦役なんです。で、旦那が浮気してて、夫婦げんかしてるんですけど、2人が登場して10分間、長回しで、杉村さんが「あんたはもう……」ってずーっと愚痴ってる(笑)。その時の宮口さんの、俯いて嫌そうな顔がまたうまいんですよ(笑)。
そういうものを観ると、なんか勇気をもらえます。それで、浮気相手の役が淡島千景さんで、「俺も淡島千景に行くよな」とか思いながら(笑)。杉村春子さんみたいな、ああいう女優さん、今いないですね。浪花千栄子とか。いやらしいことをずーっとネチネチ言ってたりするのが、すごくうまい(笑)。
あと、勝新太郎さんの「悪名シリーズ」とかも楽しいですね。三船敏郎さんは“偉大なるダイコン”だし(笑)。1950年代くらいの、あの頃の映画って本当に面白い。俳優のすごさを突きつけられる。だから、ついそのあたりの映画ばかり観ちゃうんでしょうね。
森川由樹(左)
私は、音楽のライブに行くことですね。ORANGE RANGEのライブに行くのが大好きで、追っかけはじめて(笑)、もう7年目かな? 追っかけといっても、地方までは行けないんですけど。ライブ中は、もちろんずっとスタンディングで、2時間半、通勤電車の混雑の中にいる、みたいな感じで(笑)。ギュウギュウの中で、ずっと跳んでます(笑)。
ライブってその場で一緒に作っている感じが、芝居と似てるなって思うところがあって。会場によって、同じ曲を歌っても違ったりするし、それに合わせて、メンバーの皆さんの歌い方も変わってくる。ORANGE RANGEそのものが好きだというだけでなく、ちょっと芝居と似てる部分があるっていうことも、ときどき頭の片隅をかすめてます(笑)。
私はずっとモダンバレエをやってきたのですが、表現する手段が違うだけで、伝えたい根本は一緒だなって感じるんですよね。音楽も、私が使う言葉も、ダンスで使う動きや形も、切り口が違うだけで、繋がるものはたくさんある。そういうのが面白いなと思います。たくさん元気をもらって、勉強して帰ってくる感じも一緒です。
【プロフィール】
鳥山昌克
とりやままさかつ○65年生まれ、香川県出身。88年に劇団唐組に入団。『さすらいジェニー』で初舞台、以後02年まで全作品に出演。骨太な演技と繊細な表現力で、『泥人魚』『百人町』などの唐組作品をはじめ、新宿梁山泊の舞台や『海辺のカフカ』『日の浦姫物語』『ヘンリー四世』などの蜷川作品にも出演するほか、09年にはひとり語り芝居『眉かくしの霊』も手がける。
森川由樹
もりかわゆき○92年生まれ、埼玉県出身。新国立劇場研修所6期生。宮田慶子、栗山民也、西川信廣らの指導を受けながら舞台を学び、研修所の卒業公演である『インナーヴォイス』では、ずば抜けた存在感と表現力を発揮した。卒業後、トム・プロジェクトに所属。本作が本格的なデビューとなる。
【公演情報】
トム・プロジェクト プロデュース
『百枚めの写真 一銭五厘たちの横丁』
原作◇児玉隆也
写真◇桑原甲子雄『一銭五厘たちの横丁』より
作・演出◇ふたくちつよし
出演◇大西多摩恵 鳥山昌克 冨樫真 森川由樹 向井康起 田中壮太郎
7/24~28◎笹塚ファクトリー
7〜8月◎首都圏演劇鑑賞会にて上演
〈お問い合わせ〉
トム・プロジェクト 03-5371-1153
http://www.tomproject.com
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