七之助 活力のもとというか、頑張るためのモチベーションって、観にきてくださるお客様のためとか、自分のためとか、そういうこともありますけど、でも行き着くところは愛する人のためです。たとえばうちの父親とか、絶対観てると思ってますから。好きな人のために頑張る。もし木ノ下さんが観に来ていたら木ノ下さんのために頑張る(笑)。
木ノ下 嬉しいですね(笑)。
七之助 他のお客様は「なんだよ」と怒るかもしれないけど(笑)。
木ノ下 たぶん1人の人に向かって伝えることが全員に伝わるんだと思います。
七之助 そういうことだよね。
木ノ下 僕は台本を作ってるとき、登場人物を愛せたら力になります。その役がわかった! と思える瞬間ってあって。頭で理解するというよりは、会えた! っていう感覚なんですけど、そうなれたら、役が急に愛おしくなるし、作品自体も掴めるんです。
【プロフィール】
中村七之助(右)
なかむらしちのすけ〇東京都出身。十八世中村勘三郎の次男。86年、初御目見得。87年、歌舞伎座『門出二人桃太郎』で、二代目・中村七之助を名のり初舞台。女方の大役を数々勤める花形。歌舞伎のみならず映画『真夜中の弥次さん喜多さん』、映画『ラストサムライ』、舞台『ETERNAL CHIKAMATSU』などに出演。コクーン歌舞伎には第四弾『三人吉三』から出演、今年で11回目。
木ノ下裕一(左)
きのしたゆういち○和歌山市生まれ。小学生の時、上方落語を聞き衝撃を受け、古典芸能への関心を広げていく。2006年に古典演目の上演の演出や補綴を行う木ノ下歌舞伎を旗揚げ。代表作に、『黒塚』『東海道四谷怪談─通し上演─』『三人吉三』『心中天の網島』『義経千本桜─渡海屋・大物浦─』など。平成28年度文化庁芸術祭新人賞、平成29年度芸術文化特別奨励制度奨励者。
【公演情報】